星空撮影は明るさのコントロールがカギ。星空を写す撮影テクニック

ロマンチックな星空を写真に残そうと夜空にカメラを向けてみたものの、真っ暗で何も写っていない…。そんな経験のある人も多いのではないでしょうか。

夜空でかすかに光る星は、普通の撮影方法ではきれいに写すことが難しい被写体です。この記事では、星をきれいに撮るためのテクニックを詳しく解説します。

<目次>

  1. 星空をきれいに撮るために必要なカメラと機材
  2. 星空をきれいに撮るポイントは「シャッタースピード」
  3. 星座にズームしたりまわりの風景を入れたりして撮るのもおすすめ
  4. 星空撮影のワンポイントアドバイス

星空をきれいに撮るために必要なカメラと機材

星空のようにとても暗い被写体をきれいに撮るには、そのための設定ができるカメラと三脚が必要になります。

マニュアルモードが使えるカメラで撮る

星空をきれいに撮るためには、細かい設定ができるマニュアルモードが必要です。マニュアルモードとは、シャッタースピードや絞り、ISO感度などの設定をすべて自分で決める撮影モードのこと。

マニュアルモードが搭載されているのは、ハイエンドコンパクトデジカメ、ミラーレス一眼、デジタル一眼レフなど、中級者以上向けのグレードのカメラです。

三脚を使ってカメラを固定する

このあとお伝えするカメラの設定の関係上、夜の撮影は昼間より手ブレを起こしやすいため、カメラを固定する三脚が必須です。三脚は安定感のある大きいモデルから、持ち運びやすい軽量のモデルまで多彩です。使うカメラに合ったサイズを選びましょう。

  • コンパクトデジカメを使うなら、小型軽量な三脚
  • 初心者向けで小型なミラーレス一眼や一眼レフを使うなら、中型の三脚
  • ボディが大型の一眼レフや大口径レンズを使うなら、大型の三脚

星空をきれいに撮るポイントは「シャッタースピード」

カメラを三脚にセットしたら、カメラの設定を行いましょう。ポイントは「シャッタースピード」です。

カメラの設定はシャッタースピードを基準に決める

マニュアルモードで設定するとき、まずはシャッタースピードを決めます。広角レンズでワイドに写したい場合、速度の目安は20秒にしましょう。それより長く設定すると、星の軌跡が写って線状になってしまうためです。

上の写真は広角レンズ(35mm換算で焦点距離15mm)を使って、20秒のシャッタースピードで撮ったものです。もし望遠ズームで撮りたい場合はもっと速い設定にする必要がありますので、うしろの「星座を主役に写すときはシャッタースピードを速める」 をご覧ください。

他の項目は、以下の通りに設定しましょう。

  • F値…いちばん低くする
  • ISO感度…いちばん低くする
  • ピント…マニュアルフォーカスに設定して星がぼやけず点に写るように調整する

設定方法はカメラによって異なるので、詳しくはカメラの取扱説明書を参考にしてください。

写真の明るさはシャッタースピードとISO感度で調整する

写りをチェックしてみて、明るすぎると感じたらシャッタースピードを速くしましょう。上の写真をご覧ください。右側はシャッタースピードを3秒まで速くして撮影したものです。20秒で撮った左側の写真に比べて空が暗く写っているので星はやや見えにくくなりましたが、夜空がきれいなナイトブルーとなりました。

反対に暗すぎると感じたら、ISO感度を上げましょう。シャッタースピードはそのままで明るく写すことができます。


星座にズームしたりまわりの風景を入れたりして撮るのもおすすめ

星を撮るときは星座を主役にすると、テーマがわかりやすい写真になります。まわりの風景を入れた「星景写真」も、星の撮影では定番の撮り方です。

上の写真は、おおぐま座の一部を構成する北斗七星を、望遠ズームで撮った写真です。シャッタースピードを20秒のままにして撮ったところ、星が少し伸びて写っています。これは、シャッターを開いている間に星の動いた軌跡が写っているためです。望遠ズームにすると星が大きく写るので、広角レンズでワイドに撮った場合に比べて軌跡がわかりやすくなるのです。

星の軌跡を写したくないときは、シャッタースピードを速く設定しましょう。下の写真は、同じ北斗七星を5秒のシャッタースピードで撮ったものです。右の拡大写真を見ても、星がきれいな点に写っています。

なお、シャッタースピードを速くするとその分暗く写るので、ISO感度を上げて明るさを確保しましょう。

まわりの風景を入れるときは空のグラデーションを意識する

地上を構図に入れて撮る星景写真は、上の写真のように地上の光が夜空を照らしている仕上がりになります。地上から空にかけての光のグラデーションをどのように仕上げるかが、星景写真のポイントのひとつです。

明るめに写すと夜空も明るくなり、夜でありながら活気のあるイメージになります。都会の夜空などを撮るときに似合うでしょう。

暗めに写すと深夜の寝静まったイメージになります。田園風景など人の少ない場所で撮る星景写真にマッチします。


星空撮影のワンポイントアドバイス

ここまで解説した内容を実践していただくだけでも星をきれいに写すことができるのですが、ロケーションにもこだわってみると、さらにワンランク上の写真が撮影できますよ。

星の撮影に最適なのはまわりに光源のないスポット

星の光はとても弱いため、きれいに写すにはスローシャッターで弱い光をカメラに長時間取り込む必要があります。このとき、街灯や建物の照明など強い光が近くにあると、その明るさが邪魔になってしまいます。

下の写真は、カメラの左側に街灯があるアングルで撮った写真です。街灯自体はフレームから外れていても、スローシャッターで撮ると照射される光がレンズに入り込んでしまいます。その結果、星の光よりも強く写真に写ってしまうのです。

これを避けるには、街からすこし離れたところまで足を運び、街灯や住宅のないスポットで撮影するのがおすすめです。最も理想的な場所は山の上で、標高が高い分星が近くなり、また空気がきれいなので星がクリアに写るでしょう。

夜間の撮影になるので寒さ対策はしっかりと

夜は気温が下がるうえに長時間外にいることになるので、寒さ対策はしっかり行いましょう。厚着をしておくのはもちろん、マフラーや手袋、帽子なども使って、できるだけ肌を露出しないようにしておくと、撮影に集中できますよ。



星空の写真は撮り方にコツがいりますが、ポイントをつかめばそれほど難しくありません。星空写真は天の川や流星群など、季節ごとに魅力的な被写体がたくさんあるので、一年を通して撮影が楽しめます。思い出の写真を簡単にきれいに残すなら、富士フイルムのフォトブック。

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