川や湖の自然を美しく撮影する方法
河川や湖は自然光を生かして撮影しよう
ハイキングやキャンプなどアウトドアのおでかけでは、川や湖など自然の美しさにハッとすることがありますね。心に残った自然はぜひ写真にも残しておくことをおすすめします。
屋外は自然光が豊かなのでぶれにくく、部屋の中より撮影しやすい環境です。意識的に「露出」(写真の明るさ)の設定を変えて撮ってみるとおもしろいでしょう。
露出は、カメラの設定でかんたんに変えられます。露出値をマイナス(-)にすると写真は暗くなり、プラス(+)にすると明るくなります。
右の写真は滝の左側の岩を明るさの基準(適正露出)にして、露出を調整したものです。一方、左の写真は滝の上のカエデの葉に適正露出を合わせています。同じ被写体・状況下でも写真の雰囲気がガラリと変わるので、撮りたい写真のイメージに合わせて露出を調節するとよいでしょう。
水面にキラキラ反射する光をおしゃれに撮る方法は?
水の上でキラキラと反射する光を上手に写真に撮りたいときは、シャッタースピードを速めると“光の動きの一瞬”をとらえることができます(※調整方法は機種によって異なります)。
水面はコントラストが乏しいので、ピントを自動的に合わせてくれる「オートフォーカス機能」が働きづらいことがあります。なかなかピントが合わないときは、手動でピントを設定できる「マニュアルフォーカス」機能を使って、近くの岩などにピントを合わせるとよいでしょう。
水面だけじゃなく自然と一体化した風景写真も
「川を撮る」というテーマがあると、どうしても川に接近したカメラポジションで写真を撮ることが多くなりがちですが、せっかくなら周囲の美しい自然も合わせて撮るのがおすすめ。“構図”のバリエーションが豊かになり、あとから写真を見てどんな場所で撮影したかすぐに思い出せるので、見返す楽しさもアップします。
川まで降りていくまでの道など、川から少し離れた場所にも、すばらしい撮影スポットがたくさんあり、多彩な水の表情を撮影できます。
カメラの高さを変えると写真の印象が変化
同じ場所でもカメラの位置を変えるだけでひと味違う水の動きを撮影することができます。
左の写真は通常の立ち位置で撮影した川の流れです。一方、中央の写真はカメラアングルをぐっと低くして撮影したものです。高さの差は150cmほどですが、できあがりのイメージには大きな差が生まれています。ローアングルの撮影には、ミニ三脚があると便利です。
シャッタースピードを変えて滝を撮影
滝から流れ落ちる水は、シャッタースピードを変えると、まったく違った雰囲気の写真が撮れます。
スローシャッター(シャッタースピードを低速)にすると、水の流れをなめらかに撮ることができます。カメラの設定は「ISO感度」を低め、撮影モードは「絞り優先オート」にして、絞りは最小絞り(F値を最も大きな数値)に設定します。スローシャッターで撮影するときは、ぶれやすいので三脚を使うとよいでしょう。さらに、シャッターを押すときに手ぶれを起こさないように「レリーズ」と呼ばれる離れた場所からシャッターを切れるアクセサリーを使うのもおすすめ。レリーズはセルフタイマー機能でも代用できます。
ハイスピードシャッター(シャッタースピードを高速)にすると、水の動きを止めたような写真が撮れます。「ISO感度」は400か800を目安に設定し、「絞り優先オート」で絞りを開放(F値を最も小さな数値)にします。
数値を調整しながら何度か撮影してみると、思いどおりの水の表情がとらえられると思います。
水の透明感や水中写真のきれいな撮り方
雲や空の反射があって、水の透明感や水中にいる魚などをきれいに撮影できないことがあります。そんなときは「偏光フィルター」というアイテムが役立ちます。PLフィルターとも呼ばれ、一定方向の光をカットできるフィルターで、反射光を抑えることで水面への写り込みを除去できます。
カメラの機種によってはフィルターが装着できないことがありますが、レンズの横で肉眼でフィルター効果がある角度を確認し、レンズの前に置くことでも効果があります。
空や川の割合は?構図の基本
オートフォーカスのフレームがファインダーの中央にあるので、撮りたいものを中央にした構図ばかりになっていませんか?シャッターボタンを半押ししてピントを固定する「フォーカスロック」機能を使えば、構図を自在に変えることができます。
一例として、空・岩・川・橋という4つのパーツをどういう構図で撮るかによって、写真の印象がどう変わるか説明します。左の写真は“最も目立つ橋”を中央に配置したものです。定番の構図ですが、空のアキが気になり、橋の高さもあまり伝わりません。真ん中の写真は、橋を中央よりやや上にしました。落ち着きのあるレイアウトですが、迫力にはやや欠けます。右の写真は、橋を構図のかなり上に配置しました。川との対比がクローズアップされ、高い橋や大きな川の流れがいちばん生きた構図です。
水面に映る樹木や草花を撮るコツ
自然の風景をそのまま写し出す水面の様子は、幻想的で美しいですね。こうした様子はリフレクションと呼ばれ、「順光」(被写体の正面に太陽がある状態)のときに見られます。
谷合(たにあい)の撮影では、水面と水上の光の当たり方の差が大きく、露出差が大きくなってしまうことがあります。左の写真は、水上と水面の露出差が大きすぎて、ちょうどよい明るさの写真が撮れなかった例です。このような場合は、右の写真のように露出のバランスが取れないところをトリミング(切り抜き)した構図にすることで、落ち着いた写真になります。